はたらくことの意味は、だいたいドラッカーが教えてくれた。

働くことの意味、人生の意味を喪失した私が、ドラッカーと出会い意味を取り戻していくまでの、10年とちょっとの人生記録。

ロジカルモンスター社員との対峙

このブログを始めて約3週間。どんな記事が見られやすく、どんな記事が不人気なのか、だんだんと傾向が分かってきました。そんな傾向も分かった上で、あえてふたたび不人気シリーズを再開します(笑)

 

(前回の記事から読む)

 
(このシリーズの最初から読む) 

 

自社業務システムの開発に関わる仕事は、結局、翌年(2008年)の春ごろまで続いた。というのも、運用スタート後にいくつか大き目のトラブルがあり、完全に収束するまでしばらく時間を要したからだ。

システムがある程度安定して以降は、合間を見ていくつか簡単な分析のためのツールを手作りした。これで日々の売上や利益、従来は欲しくても入手できなかった分析データを取れるようになった。これら一連の分析ツールを作るためにも時間を要した。

しかし、システムに私がかかりっきりになっている間に、今度は新たな問題が発生していた。またもや、人に関わる問題だった。

 

当時、事業が拡大して事務所が手狭になったこともあり、車で5分くらいの場所に2つ目の事務所を開設していた。顧客対応業務は人件費が安く社歴の長いパートスタッフさんのいる本社に残し、企画系の機能はすべて駅に近い新事務所に移転していた。

新事務所の開設と同時に、新たな社員の採用も行っていた。しかし、彼らが入社したタイミングで私がシステムトラブル対応に追われ、新事務所には常駐できない状況になってしまった。この隙に、新事務所の方でさまざまな人間関係トラブルが発生していた。

 

 

トラブルの発生源は、新しく採用した社員だった。ネットでの通販業務に精通し、テクニカル面のスキルが高く、コミュニケーション能力もそこそこある方だったので、採用を決めた。ちょっと高飛車で思い込みが強いあたりは気になっていたのだが、うまく方向づけしてあげれば問題ないだろうと判断した。

しかし、システムトラブルが思いのほか長期化してしまい、完全に解消する前に繁忙期に入ってしまった。ほんの2~3か月くらいなら大丈夫だろうと油断した私に責任があるのだが、この間に新事務所の人間関係はズタズタになってしまった…。

 

 

彼は「ロジカルモンスター」だった。

すべて理詰めで人に接し、自分の言葉を理解できない相手は無能だと決めつけた。そしてチームリーダーを巻き込んで、彼の基準で有能とした人間、彼になびいた人間だけに重要な仕事を割り振るよう、業務分担まで変えていた。彼のやり方に違和感や疑問を感じる人間には、単純作業のみを割り振った。

私のところには常にチームリーダーと一緒にあらわれ、いつも都合のいい報告ばかりをするので、他の社員から話を聞くまで、この異変に気付けなかった。ほんの2~3か月の間に、ここまで一気にやられてしまった。異変に気付いて新事務所に戻った時には、もはや分断が完了しており、手の付けられない状況になっていた。

 


実際のところ、優秀で能力ある人間だったとは思う。テクニカルなトレンドをよく学び、たった2か月で組織を破壊するほどの実行力も兼ね備えていた。しかし、彼は組織で自分の能力を活かす方法を知らなかった。自分の知識領域に執着し、特別な存在として処遇されることばかりを望んだ。

「こうすればもっと売れる」
「こうすれば効率化できる」
「業界ではこのやり方が常識だ」

さまざまテクニカルな知識を披露してくれたが、彼は組織特有の強みを活かすということにまったく興味がない様だった。そして人を活かすという事には、さらに興味がない様だった。人に興味がないゆえに、顧客に対する興味もなかった。

残念ながら提案の大部分は却下となった。私の中では、組織も売り場もすべて生き物であり、テクニカル面のメリットだけで生態系を破壊するような意思決定は、当然のことながら出来なかった。

 

 

はじめ彼は、他の社員同様、私のことも説得し切れると考えていた様だが、説得し切れないことが分かると、途端に反旗を翻した。そして自分の城に籠もり、分かりあえる人だけとしか会話をしなくなった。

ほどなくして、彼は退職を申し出た。同時にチームリーダーも退職して行った。

それから3か月ほど経った頃、彼ら2人は新会社を設立した。わが社にとっては主要ではないものの、比較的会社規模の大きな取引先と結託し、ビジネスモデルとノウハウを丸ごとコピーしたショップを開設した。

 

 

設立当初は、それなりに順調だった様だ。わが社のノウハウと商品まで、そのままコピーしたのだから、当然と言えば当然だと思う。

今日、この記事を書くにあたり、数年ぶりに彼らのお店を見てみた。数年前に見た時と、売り場も商品もなにひとつ変わっていなかった。変わっていたのは本社所在地くらい。残念ながら、決して順調とは言えない様だ。

彼らは彼らなりの理想を実現した。迷惑をこうむった部分はあるにせよ、それはそれで素晴らしい事だった思う。そして理想を実現した彼らは、彼らに見えていなかった「論理」と「効率」の罠に見事にはまった。

ロジカルシンキングは単なる方法論のひとつでしかなく、それだけでは限界があることに、いま彼らは気付けているのだろうか? それとも、まだ自分たちの正しさばかりに執着したまま、今を生きているのだろうか?



【今日のドラッカーの言葉】

知力や想像力や知識は、あくまでも基礎的な資質である。それらの資源を限界に結びつけるには、成果をあげるための能力が必要である。知力や想像力や知識は、限界を設定するだけである。

<P.F.ドラッカー 経営者の条件> 

 
<コメント>
ドラッカー教授は「頭のよさが成果に結びつく訳ではない」と言います。もちろん頭はいいに越したことはないのでしょうが、その頭のよさを組織の成果に結びつけるための習慣的能力を身につけていなければ、掛け算で0(ゼロ)を掛け続けるように、永遠に成果はあがらないのです。

組織は、共通の成果に向かって協働する人の集合体です。個としての能力がどれだけ優れていようとも、人と共に働き成果をあげる能力を欠けば、結果として成果をあげることはできません。

知力・想像力・知識などは、成果をあげる上での前提条件に過ぎません。もちろん職務に従事する上での最低限の知識は必須ですが、頭のよさそのものに意味はないのです。

ドラッカー教授は、「成果をあげる習慣は、誰にでも身につけられる」と言います。日々の仕事を通して、成果をあげる能力を日々意識しながら経験を重ねることで、それはひとつの習慣となるのです。

  

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 <講座および読書会のお知らせ>
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ドラッカー読書会 -入門編ー】

神奈川 平塚:2月22日(水)19:00~
スカイプ  :2月27日(月)19:30~
東京新橋  :3月1日(水)18:00~

各会場とも、参加料は5,000円です。

(番外編)告白します。「売る」のが大嫌いです…(笑)

今日は番外編です。ここ数日で感じたことを書き留めておきます。

土曜日から昨日まで、北海道に出張しておりました。美味しい酒と肴を堪能する合間に、講師をしたり、学んだり、コンサルをしてきました。 ん!? 逆か…(^^;

講師をしたり、学んだり、コンサルをする合間に、酒と肴を堪能して参りました(笑)

 

 

このブログで振り返っているように、私は社会に出て以来約17年、ずっとモノやサービスを売る現場に携わってきました。それなのに、「売る」という事に大きな疑問を感じ続けてきた人間でもあります。

はじめはITサービスを、次にインテリアを。コンサルになって以降は、さまざまな商品を「売る」ためにクライアント企業に入り、コンセプト設計をやっています。

しかし、私自身は「売る」ことが大嫌いです。
むしずが走るほど、嫌いなのです…。

今ふりかえれば、大嫌いだからこそ、この世界にずっと居続けたのかもしれません。大嫌いだからこそ、それを好きという人、そして成果をあげる人を観察し、ノウハウ化できたのかもしれません。とどのつまり、「嫌よ嫌よも好きのうち…」みたいな事かもしれません(笑)

 

 

なぜ「売る」ということが大嫌いなのか。そのヒントは、今回学びの場でご一緒した皆さまとの会話にありました。

私の世代は、日本社会の行き詰まりを片目で見つつ、もう片目で戦後復興や高度経済成長を支えた時代の教育システムを見るようにして、育ってきました。

子どものころから、大人たちが語る
「学ぶ意味」
「努力する意味」
「成長の意味」
に、どこか違和感を感じていました。

小学生の頃にバブル経済が崩壊し、高校生の時に阪神淡路の震災と、地下鉄サリン事件という、社会をゆるがす大事件を目の当たりにしてきました。

日本社会がひとつの限界に達し、崩壊を始めるさまを横目に見ながら、その崩壊しつつある旧態依然とした社会を支える教育システムによって評価を受け、学歴という結果を求められるという、明らかな矛盾の中にいました。

大人たちの自信がどんどん失われ、特に父親という存在の権威がどんどん軽くなっていった時代でもあります。自信を失った大人たちを見続けることは、若者にとっては将来への希望を少なからず喪失することでもあります。

そんな学生時代もようやく終わりに差し掛かり、いよいよ社会に出ようというタイミングで直面したのは、就職氷河期でした。私の年は氷河期のクレパスの底の年。私の友人には、本当に100社回っても内定が決まらないという経験をした人がいました。



私が「売る」という行為に違和感を覚え続けているのは、この「売る」という行為が、旧態依然としたシステムの延長線上にあることを、肌感覚で感じていたからなのかもしれません。

穴が開き、沈みゆく船をどんなに必死に漕いでも、いずれ沈没してしまうのです。

もちろん、今すぐ全員が漕ぐことをやめたら大変な事になってしまいます(笑) だから、漕ぎ続けてくださる人々にも感謝しつつ、気付いた人は次の時代を創造することを急がなければならないと感じています。

 

 

昨日の打ち合わせは、私自身にとっても大きな希望を感じるものとなりました。次の時代を創造する旅に、いよいよ出航するタイミングが来たことを感じています。

サービスを提供する側も社会に貢献していることを実感し、サービスを利用する側も社会に貢献していることを実感する。お金をいただく側も貢献を実感し、お金を払う側も貢献を実感する仕組み。

私自らが、未来への希望を創造する事業を通して、あらためてドラッカーを実践することになりそうです。


 

【今日のドラッカーの言葉】

事業の目的は顧客の創造である。買わないことを選択できる第三者が、喜んで自らの購買力と交換してくれるものを供給することである。

<P.F.ドラッカー 創造する経営者> 

 
<コメント>
「売る」という言葉と同じくらい、最近私が嫌っている言葉があります(笑) それは「顧客ニーズ」という言葉です。

私たちは事業内部の視点から「顧客ニーズ」を分析したつもりになっていますが、ほとんどの場合、やっている事は製品やサービスからスタートした都合のよい想像に過ぎません。これらは「顧客が直面する現実」とはまったく異なるものです。

ドラッカー教授自身も「ニーズ」という言葉を使ってはいますが、その意図するものは、われわれが一般的に「ニーズ」と呼ぶ意味合いとは、大きく異なります。

ドラッカー教授が「ニーズ」と定義するのは、何が真の課題か?を定義できる対象に限られます。つまり組織や業界の内部プロセスにしか「ニーズ」は存在しないということです。

顧客は組織の外の存在であり、知覚の対象です。顧客の現実を知覚したのちに、商品やサービスという手段を提供するべく内部のプロセスを分析し、プロセス上のニーズを探るのです。

つまり「顧客ニーズ」という表現は、“言葉のあや”です。われわれに出来ることは、顧客に聞き、顧客を観察し、顧客の現実を知覚することのみです。事業機会は社会に存在します。現実を知覚し、顧客とマーケットを創造することが、事業の目的なのです。

  

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各会場とも、参加料は5,000円です。

「効率化」の真の意味を知った日々のこと。

入社から半年が過ぎた2007年6月、まだまだ継ぎはぎだらけのチームではあったものの、ひとつの戦略を共有してチーム全体が動くという流れにはこぎつけた。

そこで私は、次の大きな課題に向き合うことにした。

 

 

それは「日々の利益が把握できない」「商品カテゴリ別の売上が把握できない」という、とても大きな課題だった。

信じられないかもしれないが、当時のネットショップではありがちな光景だった。オークションやタイムセールという販売側の仕掛けだけが先行して成長したため、そもそも同じ商品でも売価はバラバラだった。製造直売型のため、原価は毎月変わっていたが、それも反映できていなかった。

顧客との取引は、モールの仕組みを使えば、一応は完結する。売上だけなら、貧粗ではあるがデータも一応は把握することが出来る。しかし、売上だけではなく粗利益の推移を時系列で把握し、機動的に仮説検証を行うための仕組みは、何もなかった。

 

 

手始めに、ネットショップ向けの業務パッケージを検討した。しかし、2007年当時、自社の業務にフィットするパッケージは皆無だった。ほとんどのパッケージが、自社よりかなり小さな規模のネットショップを対象としたものだった。

最大の課題は「1出荷元」にしか対応しない業務パッケージしか存在しない事だった。極力在庫を持たずに多様な商品をそろえて運営することが自社の強みだったため、この選択肢は早々に外さざるを得なかった。

各地にある工場から、大型家具をわざわざ倉庫に運び込んで一元出荷するコストを考えれば、業務システムの方を自社用に開発する方が、コストがかからない事は一目瞭然だった。



こうしてシステム開発のプロジェクトがスタートした。約1か月半にわたり、週3日は打ち合わせ漬けの日々。打ち合わせは深夜まで続く日もあり、長い日は12時間以上に及んだ。

すべての業務をひとつひとつの仕事に分解し、分解した仕事を作業に分解し、すべての作業にあるべき手順を定めていった。のちにドラッカーを学んで知ったことだが、「仕事のマネジメント」の基本である、仕事の設計を全業務に対して行うことが、この打ち合わせのゴールだった。

あるべき業務の流れの検討に平行して、データベースの項目と、画面の設計が行われていく。特に画面の設計の打ち合わせには、システム関係の前提知識がなにもない受注担当スタッフも入るので、予想もしない要望や質問が出てくる。これら現場からの要望もふまえつつ、設計は進んで行った。

 

 

元々システム業界に在籍していたが、当時は営業というポジションだったので、実際のシステム設計に本格的に関わるのは初めてだった。クライアント側の立場でシステム設計に関われたことは、とても貴重な経験だった。

なにより貴重だったことは、「効率化」という言葉の真の意味を知ったことだった。それまでの私は、必要のない手順を省いていくことを効率化だと思っていたが、それは違った。

必要なプロセスを、よりよく設計することが「効率化」なのだと、この時はじめて経験から知った。



【今日のドラッカーの言葉】
事業とは、市場において知識という資源を経済価値に転換するプロセスである。

<P.F.ドラッカー 創造する経営者> 

 
<コメント>
「仕事はプロセスである」とドラッカー教授は言います。プロセスであるということは、インプットとアウトプットがあり、その間には手順があるということです。「効率化」とは、この手順の部分を最適化し、最も生産性の高い設計を行うための一連の行為なのです。


この手順の設計が人任せになっていたり、古い設計のまま何年も使っていると、「非効率的な仕事」が生まれます。多くの企業では、非効率的な仕事をしている「人」の問題とされがちですが、そもそも仕事の設計が非効率的であれば、誰がやっても非効率な仕事にしかなりません。

外部環境の変化に合わせて、プロセスは変えていかなければなりません。かつて効率的だった設計も、時が経てば非効率な仕事になるかもしれないのです。事業もプロセスであり、業務や仕事もプロセスなのです。私たちは仕事を生産的に行うために、常にプロセスを管理し、見直さなければならないのです。

  

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自ら考え、自ら動く組織が生まれた!

前回からつづく)

“組織をひとつにするための会議”は、まず「いま課題に感じていること」をヒアリングすることから始めた。ホワイトボード一面に、次々と意見が書き込まれていく。不満ばかりに焦点があたる愚痴大会にならないように、「どんな意見も率直に出してOKだけど、最終的にこのメンバーで解決できるものだけを扱う」ことにした。

ひとしきり意見が出たところで、次は強みと機会の分析へと移った。営業時代にちょっとだけ使ったことのあった“SWOT分析”という手法を、みんなで使ってみることにした。

さらに、自分たちのお店の“顧客像”についても意見を出し合った。家族構成や、おおよその年収、その人たちは、どんなきっかけで購入し、どんなことを期待しているか?などを話し合った。

それらをふまえて、自分たちのお店は今後どんなお店に変わっていったら、お客様にとって価値あるお店になれるのか?を話し合った。

 

 

この時の私はまだ、ドラッカーと出会っていない。しかし、この時やった事は驚くほどドラッカー的だった。

1つ目の議題で「参画する意識」が生まれた。
2つ目の議題で「自社の強み」と「集中」すべき場所が共有した。
3つ目の議題で「顧客は誰か」を共有した。
最後の議題で「向かうべきビジョン」を共有した。

入社して約半年、社員がはじめて同じ方向に向かって、分業できる環境が整った。あとは一つひとつのアクションプランを、一人ひとりの仕事に落とし込んだ。

 

 

ページ制作担当は、新しいビジョンに則ったホームページにリニューアルすることを決めた。制作チームで一番若手だった社員が責任者を引き受けた。それまで上司に指示されるまま仕事をこなしていた内気な若手だったが、この時を機に、何かが変わった。

商品開発担当は、ベッドならベッド、ソファならソファというように、さらに細かく「強み」と「集中」の分析を続けた。各商品ジャンルごとに「主力」と「サブ」を分類し、優先度の高いものから商品開発に着手した。

やめる事も決定した。一部の商社から仕入れていた商材は、全廃することとした。この商材は自社で在庫を持つ必要がなく、注文があってから1点単位で発注できるというふれ込みで扱っていたものだったが、品質が悪くクレームを増やす原因となっていた。自社の強みとも顧客層ともズレていることが分かり、1000商品ほど取り扱っていたものを、一気に0にした。

広告とお店のキャンペーンを連動させたお店の企画ページも動き出した。お客様が必要と思うタイミングで、必要と思われる企画を毎週立ち上げた。その代わり、従来型の単なるセールは全廃した。

 

 

“組織をひとつにするための会議”は、予想をはるかに超える大成功だった。

これを機に、社員がひとつの方向を向いた。自分の役割、そして一人ひとりの役割への相互理解が深まった。どんなコミュニケーションが必要かを互いに理解した。自分の判断で動ける範囲が分かり、一人ひとりが自ら考え動くように変わった。

さすがに、社長への直訴がゼロになった訳ではなかったが、それでも会議を行う前と比べると、大幅に回数が減った。

ひとつの成果へと向かうチームが始動した瞬間だった。




  

【今日のドラッカーの言葉】
オートメーションのもとでは、計画と実行を分離したまま人と仕事を組織することはできない。未熟練の者さえ計画する能力が必要である。計画する能力をもつほど仕事の責任をもつことができる。それだけ生産性も高くなる。いわれたことしかできなければ有害な存在となる。

<P.F.ドラッカー 現代の経営(下)> 

 
<コメント>
今回引用した「現代の経営」は、1954年に出版された書籍です。当時の課題はオートメーションという新たな仕組みの活用にありました。主に計画とマネジメントを担当する「経営管理者」と、実行を担当する「現場労働者」の対立が課題でした。

対立を解消し、生産性を向上させるための鍵は、労働者による計画への参画にありました。これらは戦時生産体制における人材不足で、偶然発見されたものだったそうです。現場で働く人が、自ら計画を行うことで、仕事の生産性は大幅に向上しました。

2017年に生きる私たちは、当時のオートメーションよりはるかに複雑なシステムを使って日々働いています。しかし、人が生産的に働くための原理は、1954年も2017年もなんら変わりはありません。

現場で働く人に適切な情報が提供され、自分自身の仕事を自ら計画できる環境を整えることによって、「自ら考え、自ら動く」という責任の意識が芽生えるのです。

  

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組織をひとつにするための会議

 (↓↓↓小さな会社での奮闘記篇 はじめから読む方はコチラ↓↓↓)

drucker-teachings.hatenablog.jp

 

新しい会社に入って5か月。2007年4月から、私はインターネット事業を統括する立場に就いていた。

入社してからの5か月間で、当面の進むべき方向性・戦略は見えていたが、まだ大きな課題が残っていた。方針や戦略ではなく、社長の顔を見て動く古株の重鎮社員たちの存在、つまり人にまつわる問題だった。

若手の社員たちは、方針や戦略を中心とした新しい仕事のやり方に順応しはじめていた。しかし、古株で重要なポジションにいる社員ほど、旧来の個人経営企業のスタイルから離れることができないままだった。事あるごとに社長に直訴し、小さな抵抗を繰り返していた。

正直なところ、いきなり外から来た人間に仕組みを変えられる側の立場になれば、無理もないことだった。私自身、そこは割り切っている部分もあって、ゆっくり時間をかけて解決すればいいくらいに思っていた。

しかし、同時期に新たな社員の採用活動も行うことになり、そうも言ってられない状況になった。新入社員(と言っても中途採用だが)が入るにあたり、バラバラな方向を向いている社員をひとつにまとめ、方針と戦略で全員が「考えて動く」チームへの移行を急がなければならなくなった。

 

 

私には経験も知識もなかった。当然、周りに教えてくれる先輩社員もいない。そもそも教えてくれる人が社内にいるなら、いまの現状にはなっていないのである。期待のしようもない。

自分で考えるしかなかった。これまでの経験を総動員して、何ができるかを必死に考えた。そうすると、これまでの経験の中に、いくつか使えそうなパーツが見つかった。

1.若輩営業として先輩技術者を動かしてきた経験
2.プロジェクト会議での経験
3.研修で習った、いくつかの分析手法(使ったことはない)
4.さまざまな上司と接してきた経験
  (ついて行きたくなる上司と、一緒に働きたくない上司)
5.営業として培った「話を引き出す技術」

立場だけは事業トップに就いたものの、年齢的には下から数えてトップ3圏内。そんな私が古株社員を巻き込むために考えた作戦は、これだった。

「会社の未来のビジョンをみんなで創る会議」

追い込まれて出した窮余の策だった。未来ビジョンを創るという名目で、会社の強みや弱み、機会などを全員で分析していくことで、説得ではなく納得を得ようと思った。

はじめから方針・戦略ありきではなく、未来ビジョンを創る過程で深く話す。結果として、立てた方針と戦略は間違ってなさそうだね~という話に落ち着けば、それでよかった。

みんなで会議で創り上げた感を醸成することで、それぞれ「自分の意見が会社のビジョンに反映されている」と感じてくれれば、きっと何かが変わるだろうと思った。結果はどうなるか分からなかったが、この可能性に賭けてみることにした。

 

新入社員が入社した5月のGW明けから会議はスタートした。毎週1回、半日だけ全社員の時間をもらって全3回。

「未来ビジョン」という言葉の魔力は予想以上で、みんな「業務で忙しいのに…」とかなんとか言いながらも、まんざらでもない様子で会議に参加してくれた。

この会議では、基本的に私は意見を一切せず、ひたすらファシリテーションに徹することにした。あくまで聞く側として場の運営だけを行い、古株から新人まで全員が意見を出せるようにした。

その代わり、会議をふまえた計画案の作成は、私にすべて任せてもらうことにした。みなさんの意見をベースに、私の意見も載せた案を、あらためて全員で話し合うことで、全体の総意とする事とした。


(次回へつづく)

  

【今日のドラッカーの言葉】
計画を実行すべき人たちが計画を理解し自らのものとするには、彼ら自身がアクション・プランの策定に参画している必要がある。
あまりに手間がかかると思われるかもしれない。しかし、アクション・プランは、それが策定された暁には、全員に理解されることが不可欠である。組織の全員が、新しいものを欲し、コミットし、行動の用意ができていなければならない。

<P.F.ドラッカー 経営者に贈る5つの質問> 

 
<コメント>
知識労働者を指示・命令によって動かすことは出来ないとドラッカー教授は言います。現代の組織は、働く人ひとりひとりの脳の中に格納された資源、つまり知識や経験を、組織の成果のために提供してもらってはじめて、成果をあげることができます。

組織に属する一人ひとりの社員・スタッフが、自ら進んで知識や経験を提供したいと思える環境をつくるのは、マネジメントの仕事です。組織が社会に貢献しているという意識が共有され、仕事そのものに意義を感じられる状態があるとき、そこで働く人は進んで自らの持つ資源を提供するようになります。

組織が一丸となってミッションや目標を実行するための鍵は「参画」にあります。自らが策定に参画した目標に対しては、一人ひとりが実現の意欲を持ち、実現への責任を自覚するのです。

目標は実行に移されてはじめて成果へとつながります。参画による目標の設定は、現場で計画を実現するための鍵でもあるのです。

 

  

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“お人よし”も過ぎれば害悪をもたらす。

前回からつづく)

入社して2か月。
信じられないほどに、すべては順調だった。

当面の戦略は固まった。
戦略はひとつひとつの仕事へと落とし込まれた。
仕事の手順、プロセスも明らかである!!

が、しかし、、、
そう簡単にいくほど、世の中は甘くない・・・。

次なる課題は『人』だった。親族経営の小さな会社にありがちな、人事にまつわる問題だった。

 

 

彼はこの会社で「部長」と呼ばれていた。歴史の浅いネットショップ業界で、この道7~8年のベテラン。一時代を築いた功労者でもあり、業界内でもそこそこ名の知れた有名人だった。


一般的なTVドラマでは、こういう古参の重鎮が改革の抵抗勢力となり、生き残りをかけて、周りを巻き込んでの全面闘争を仕掛けてくると相場は決まっている。ましてや改革を主導するのは新参者。社長の息子という特権的ポジションを悪用する、にっくき相手である。

ここは、喰うか食われるか、やるかやられるかの、全面戦争になるのがお約束というものだろう。

 

 

しかし、現実はまったく違った。
彼はただの『お人よし』だったのだ。
それも、根っからの・・・(笑)


『お人よし』というのは、実に厄介である。いっそのこと、敵意をもって抵抗してくれる方が、はるかにやりやすいと言うものだ。その方が、お互いの意見をぶつけ合うこともできる。結果として、協力し合えるポイントを見つけられる事だってある。

お人よし過ぎる彼の辞書に「No」の文字はなかった。誰の、どんな意見に対しても、オール「Yes」だった。彼の辞書には「Yes」しかないのだ。もちろん私の意見にも、立案した戦略にも、役割分担を変えることにも、すべてニコニコ笑顔でYesである。

 

 

すべてをYesで答えるということは、実はなんの疑問も持たないという事と同義である。実際、彼は何ひとつ理解していなかった。そして、これまで通り自分のスタイルで、これまで通りの役割分担で、仕事をやり続けた。

悪意なき抵抗勢力の誕生である。まるで3歳児のように無垢な気持ちで、彼はこれまで通りの仕事を続け、その動きが周りと一致しなくなっていった。

 

 

なぜ彼のような人間が部長というマネジメントのポジションに任用されてしまったのか、その答えは簡単である。真面目に社長の言いつけを一生懸命にこなし続けた、親族の一員だったからである。親族企業あるあるを、地で行っただけのことだ。

のちにドラッカーを学んで知ったことだが、マネージャーには為すべき役割がある。マネジメントを機能させるべく、いくつかの仕事を責任をもって遂行する人が、マネージャなのだ。それは資質とは関係なく、仕事である。

残念ながら、彼にマネジメントの立場にいるという意識や責任感は皆無だった。当然、マネージャーとしての仕事は、何も行っていなかった。

すべての人にお人よしとして接し、すべての人の意見にYesと言い、自分自身が得意とする仕事のやり方で、個人商店として仕事を続けた。

 

 

なぜ社内に個人商店が2つのような状態で仕事を続けてきたのか? なぜ言われるままに広告を買い続け、利益のあがらない体質にしてきたのか?

その元凶が、彼の「お人よし」ぶりにあることは明白だった。社内・社外問わず、人からは好かれていた。しかし、役割を全うしているとは言い難かった。それは成果にはつながっていなかった。マネージャーとしては、その「お人よし」さがむしろ害悪をもたらす要因となっていた。

会社の古株の重鎮であり、誰からも好かれている人を、そのポジションから追いやることは困難のように思えた。しかし、それから3カ月後に、彼は社長命令で別のポジションへと移動となった。部長という役職だけはそのままに、個人商店として動ける法人営業担当となった。

移動の原因もまた、彼の人のよさにあった。最盛期の3月に、再び言われるままに予算を超える広告を買い漁った。なんども失敗した古いやり方に再び手を出し、予想通り失敗した。彼は最後まで、自分自身を変えることができないまま、その役割を去ることになった。

  

 

 

【今日のドラッカーの言葉】
対人関係の能力をもつことによってよい人間関係がもてるわけではない。自らの仕事や他との関係において、貢献に焦点を合わせることによってよい人間関係がもてる。そうして人間関係が生産的となる。生産的であることが、よい人間関係の唯一の定義である。

<P.F.ドラッカー 経営者の条件> 

 
<コメント>
私たちが感じるストレスの多くは、人間関係に起因すると言われます。脳はできるだけ楽をしたがる特性を持っていますから、対人関係にストレスを感じたとき、人はすぐに他者とのコミュニケーションに答えを求めてしまいがちです。

しかし、仕事における課題のほとんどは、仕事の設計の問題です。人間関係における課題のほとんどは、自分自身を知らないがために起きていることです。どんなにコミュニケーションの能力を磨いても、本来の課題が解決するわけではないのです。

組織においては、「仲の良さ」ばかりを重視すれば本来の仕事がなされず、成果はあがりづらくなります。組織の成果があがらなければ、結局は人間関係も悪化してしまいます。

「誰の意見が正しいか?」ではなく、「何が正しいか?」を考えなければなりません。もちろん人とより良く接することは大切ですが、仲の良さや、自分の考えを認めてくれる人間関係ばかりを重視すれば、結局は不毛な人間関係しか手に入れることが出来なくなります。表面的な仲の良さよりも、共通の目的に向かい切磋琢磨しあう仲間こそが、真に大切と言えるのではないでしょうか。

 

  

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「感情エネルギー」について学び、それをドラッカーのマネジメント原理に則って人生のデザインに活用するセミナーの、単発特別篇!

◇2/12(日) 参加費:20,000円 渋谷@東京にて

幸福の本質を見極める! ライフ・イノベーション番外編

 

 

ドラッカー読書会 -入門編ー】

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スカイプ  :2月27日(月)19:30~

各会場とも、参加料は5,000円です。

 

 

お客さまは「安さ」だけに飛びついている訳ではなかった!

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 (昨日のエントリーから続いてます)

という訳で、ようやく仮説検証する場を手に入れた私は、さっそく実験を始めてみた。ここではじめて「買い手の心理」というオモシロイ世界に触れることになる。

最初に設定したテーマは4つあった。
 仮説A:本当にセールにしないと、広告でモノは売れないのか?
 仮説B:他店より高く売っても、便利だったら買う人がいるのではないか?
 仮説C:飽きられた商品でも、目先を変えれば広告を見てくれるのではないか?
 仮説D:単品を売るより、用途を売った方が顧客ニーズに合うのではないか?
これらを、いくつかの施策で検証していった。




仮説A:本当にセールにしないと、広告でモノは売れないのか?>
結論から言うと、これは半分本当で、半分は売り手側(自分たち)の思い込みだった。実験をはじめてすぐに気付いたのは、お客様が行動する動機は「安さ」そのものではなく、「限定感」だったということ。類似する用途の商品と比べて明らかに高いのは問題だけど、少なくともオリジナル商品を扱っているかぎり「当店通常価格からのお値引き」には、ほとんど意味のないことが判明した。


仮説B:他店より高く売っても、便利だったら買う人がいるのではないか?>
これは私自身もそういう購買行動をするので、はじめから確信があったが、実験してみて予想通りの結果が出た。たとえば自分のお店の主力商品(ベッド)に強い競争力があって、そのベッドと一緒に届いて欲しい商品がある場合は、「安さ」よりも「便利さ」を優先する客層が存在した。その後さまざま実験してみた結果、便利さを優先する客層は1割くらいの価格差までなら許容してくれることが分かった。


<仮説C:飽きられた商品でも、目先を変えれば広告を見てくれるのではないか?>
これは仮説Aで「限定感」というキーワードに気付いたあと、試験的に「季節限定カラー」を導入することで実証してみた。結果は予想どおり。限定カラーを提供した結果、従来の定番カラーも一緒に復調した。


<仮説D:単品を売るより、用途を売った方が顧客ニーズに合うのではないか?>
これはセールではない「〇〇特集」のようなページに広告を誘導することで実験してみた。(今でこそ当たり前だが、この当時は非常識だった) こちらも結果は予想どおり。そもそも売り場がセール会場である必要など、何もなかった。お客様は「安い」から買っているのではなく「欲しい」と思うから買っていた。



ひとつひとつの検証結果は、今でこそ本を開けば書いてあるレベルの知識なのだが、10年前にはまだあまり知られていない大きな発見だった。これで広告費の削減と事業の成長を両立できる可能性が見えた。あとは戦略に従って行動を積み重ねていくだけだった。

このとき、「思い込み」を疑うという姿勢の大切さを、はじめて身をもって知った。売り手が「お客様はこれを買っているに違いない」と思い込んでいることは、実際のお客様の行動とはまったく異なる。

目先の結果ばかりを求めて正解探しに走ることは、結果として自分たちの思考を停止させ、売り手の勝手な思い込みを生み出すだけなのだと、このとき気付かされた。

 

 

そして、お客様の「欲求」「ニーズ」というものが、ひとつ・ふたつのモノサシでは測れないという事も思い知った。それは少なくとも、「論理」「効率」などというもので割り切れるほど単純なものではなかった。

ひとりひとりのお客様に「思考」と「視点」があり、まさしく生き物としての判断が、そこにはあった。

このあと数年後にドラッカーと出会い、「知覚」という言葉を知ることになるのだが、少なくともこの時の経験によって、私は顧客と事業をきわめて知覚的にとらえるようになっていった。知覚という言葉は知らなかったが、知覚と論理を使い分けるようになった。

 

 

当面の戦略は固まった。あとは優先度と実現性の高いところから、ひとつひとつの仕事に落とし込んで実行していくだけだった。

<集客戦略>
安さではなく、限定感を主軸に据える。主力商材に季節限定カラーを採り入れ、集客効率を高めつつ、広告費は削減する。

<販売戦略>
来店動機にあわせて、顧客ニーズに合わせた複数の「提案のページ」をつくる。広告と提案を連動させることで、購買率を高める。集客と連動するよう、提案ページの一部だけは目玉となる限定感の高い商品(限定セール品)などを掲載する。

<単価アップ戦略>
来店動機にあわせて、ついで買いをしてもらいやすい商品をそろえる。
(この時、単一商品に強みを持つ他のネットショップと交渉し、仕入れを行うことにした。当時はなかったドロップシッピングの仕組みを自前で構築していった)

 

 

入社して2か月が経過。
商品企画部として、当面のやるべきことは、これで固まった。

が、しかし、、、
このあと思いがけない壁にぶつかる事となる…。(つづく)



 

【今日のドラッカーの言葉】
顧客や市場について、企業が知っていると考えていることは、正しいことよりも間違っていることのほうが多い。顧客と市場を知っているのはただ一人、顧客本人である。したがって顧客に聞き、顧客を見、顧客の行動を理解して初めて、顧客とは誰であり、彼らが何を行い、いかに買い、いかに使い、何を期待し、何に価値を見出しているかを知ることができる。

<P.F.ドラッカー 創造する経営者> 

 
<コメント>
昨年末に行われたアメリカの大統領選挙でも、名だたる大手メディアが有権者投票行動を読み切れませんでした。人は常に「自分が正しいと思っていること」の証拠を集める思考癖・行動癖を持っており、目の前の現実ではなく、都合のいい現実だけを見てしまう生き物なのです。

企業と顧客の関係性においても、これとまったく同じことが言えます。組織の内側にいる以上、どれほど細心の注意を払ったとしても、組織のバイアスがかかった視点からしか、現実を見ることはできないのです。

顧客分析から入っても、新たな変化に対応することはできません。分析できるのは、常に過去の出来事だからです。新たな変化を機会とするためには、顧客に聞き、顧客をつぶさに観察し、どのような変化が起こりはじめているかを「知覚する」という事が重要なのです。

 

  

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