はたらくことの意味は、だいたいドラッカーが教えてくれた。

働くことの意味、人生の意味を喪失した私が、ドラッカーと出会い意味を取り戻していくまでの、10年とちょっとの人生記録。

「目的なき目標」ほど、無意味なものはない。

(↓↓↓前回から読む方はコチラ↓↓↓)

drucker-teachings.hatenablog.jp

 

なぜ当時の私は鬱病になるまで自分を追い込んだのか? あとあと振り返ればいくつもの要因が重なっているのだが、原因のひとつは「目的なき目標管理」だったように思う。会社の経営陣からマネージャー、そして私自身。だれもが目的を喪失したまま目標を追いかけていた。

 

 

私のいた会社は、いわゆる国策企業だった。1980年代の日米貿易摩擦の結果、国策によって設立された企業であり、そもそも市場における何らかのニーズを基礎として設立された訳ではない。

一般的な企業では「われわれの会社は〇〇のために存在する」というミッションが存在するはずのところ、私のいた会社はこの部分が「国策」でしかなかった。(組織のミッションは一応言葉として定義されていたが、誰ひとりとしてそのミッションを意識してはいなかった) つまり、そもそもの設立意義・存在意義が、とても薄い会社だった。

さらには、全役員が全く文化の異なる2つの親会社からの出向・転籍組だった。中には心ある役員の方もいたが、3~5年後に退職を控えた役員の多くは、将来より現在を、目的よりも目の前の目標達成を重視していた。真の成果を追求することよりも、目の前の人間関係を重視していた。

このような組織風土の中で、形ばかりの目標管理が行われていた。目的なき目標が設定され、昨年より今年、今年より来年と成長することが求められた。なんのために成長するのか? どこに向かって成長するのか? 一切の方向性は置き去りのまま、ただ人事評価のために成長目標と数値目標が管理されていた。

 

 

「目的の欠けた目標」ほど、無意味なものはない。そして無意味なものを追いかけ続ける事ほど、人を腐らせるものもない。しかし人は「肉体の死」という根源的な恐怖ゆえに、この「精神の自死」とも呼べる環境を、いとも簡単に受け入れる。

組織そのものは、確かに目標さえ達成し続ければ存続できる(ように見える)。組織さえ存続していれば、個人はひとまず「肉体の死」という根源的な恐怖からは目を背けることができる。

組織のニーズと個人のニーズが、ここで合致する。

いつしか組織の存続そのものが目的化し、目標達成が目的化し、そこにいる人々は組織に従属するか否かを選ぶようになる。あとに残るのは、精神の死を選択したゾンビの集団にほかならない。

私には、まるで社会全体がゾンビ集団のように見えた。肉体の存続を目的とし、精神を殺して生きる選択をした人を「社会人」や「大人」と呼ぶならば、私は「社会不適合者」の「子供」でいいと思った。

 

 

こうして私は、自らに「社会不適合者」というレッテルを貼った。そうする以外に自分の精神を保つ方法がなかった。

組織で働く意味を見失い、社会の存在意義すら疑うようになり、その中で生き続ける自分という存在の意義も分からなくなった。生きている自分にまったく意味を見いだせず、そうは言っても死ぬわけにもいかない。

結果として、自分自身がゾンビとなった。もはや生きてもいないが死んでもいない、ただの肉の塊だった。社会・組織・自分自身のすべてを否定しながら、自分自身の何かを必死に守ろうとしていた。

どこにも出口のない闇の中に堕ち、一筋の光を探す旅が始まった。





【今日のドラッカーの言葉】
動機づけ、とくに知識労働者の動機づけは、ボランティアの動機づけと同じである。周知のように、ボランティアは、まさに報酬を手にしないがゆえに、仕事そのものから満足を得なければならない。何にもまして、挑戦の機会を与えられなければならない。組織の使命を知り、それを最高のものと信じられなければならない。よりよい仕事のための訓練を受けられなければならない。成果を理解できなければならない。

<P.F.ドラッカー 明日を支配するもの> 

 
<コメント>
人は行動するために何らかの意味づけを必要とする存在です。人間は物事や行為に自ら意味づけを行うと同時に、そこで意味づけされたものを再利用しながら生きています。「有意味」や「無意味」というレッテルは人が勝手に貼ったものであり、本来、意味そのものには何の意味もないのですが、われわれ人間は自ら定義した「意味」の “ありやなしや” に一喜一憂する、不思議な生き物なのです。

組織が人のエネルギーを活用して成果をあげるためには、この「意味づけ」を必要とします。そこで働く一人ひとりが、自らの仕事によって社会に貢献し、働くことを通して自己成長につながっているという実感が必要なのです。

マネジメントの目的は、人や仕事を管理することではありません。人のエネルギーを創造することです。人だけが持つ無限の創造性を発揮せしめることを通して、意味づけを超えた人生の根源的な意味のようなものに人はたどり着けるということを、ドラッカー教授は知っていたのではないかと思います。

 

 

 

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 <講座および読書会のお知らせ>
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