はたらくことの意味は、だいたいドラッカーが教えてくれた。

働くことの意味、人生の意味を喪失した私が、ドラッカーと出会い意味を取り戻していくまでの、10年とちょっとの人生記録。

小さな会社における現実。知識も戦略も足りていない!!

7年間のサラリーマン生活に別れを告げ、2006年冬に当時父が経営していた会社に入社した。それまで800人くらいの中規模な企業、日本だけで数万人いるグローバル大企業を経験してきたが、そこで初めて小さな会社を経験することになる。

父の会社は、オリジナルベッドの企画からスタートした、インテリアの企画販売会社だった。主な取引先は、当時急成長していたインターネットでの直販。それ以外にカタログ通販会社や東急ハ〇ズなどへのOEM提供。

いまや当たり前に見かけるようになったが、マットレスのカラー展開やサイズオーダーなどは、実はうちの父が日本初(もしかすると世界初?)だったらしい。ちょっとしたアイディアを盛り込んで、これまでにない「暮らし」を提案する企業だった。

 

 

正直なところ、ここで1~2年のんびり修行させてもらうつもりだった。しかし、零細企業の現実は、そう甘くはない。インターネットブームに乗り、急成長した歪みは、そこかしこで表面化していた。

結局、おとなしく出来たのは、はじめの1か月だけだった。とにかく「仕組み」になっていない。この現実を見て、自分の経験と知識を総動員して、2か月目には組織改革と仕事の仕組化を始めた。

いろいろ腑に落ちないことの多かった前職も、IT企業というだけあって仕組み自体はそれなりに整っていた。課題はその使い方だったのだと、その時はじめて気付かされた。

 

 

当面の課題は、大きく分けて3つだった。

1.行き当たりばったりの商品開発
2.勘と経験による販売戦略
3.おかしな成功体験を持った古株社員

まず、商品開発が無茶苦茶だった。主力のベッドは父がそれなりの戦略をもって商品開発されていたが、残りは仕入れ先の工場のおっちゃんが「これホームセンターで売れてるから、売ってみな~」と行き当たりばったりで持ってきたものを、そのまま売っているだけだった。独自性もなければ、戦略性もない。価格帯もバラバラ。せっかく日本で作っているのに品質管理もなっていない。これで競争に勝ち残ろうと思っている方がおかしい。

販売には戦略すらなかった。モールや広告会社から言われた広告をそのまま買っているだけ。しかも売りやすい安物に高い広告費を投入しまくっていた。たしかに売上は急成長していたが、広告比率は信じられないほど高かった。これで利益が残るはずないと思ったが、会社はなぜかギリギリ黒字だった。(黒字の理由はあとあと分かるのだが…)

そして、この売上が急成長しているというのが一番厄介だった。古株社員は自分たちの成果を誇っていた。もちろん誇りを持つことは素晴らしいのだが、明らかにおかしい場所が多々あるのに、そこに目が行かない。指摘しても、聞く耳を持たない。むしろ自分たちの成功体験を盾に、「何も知らないくせに…」となってしまう。

 

 

知らないというのは恐ろしい。知らないまま運よく成功してしまう事は、さらに恐ろしい。人間は自分の視点と視野でしか世界を見ることはできない。真の成長とは、自分の視野の外にある世界に気付き、自分の小ささを認めることから始まるのだが、プライドがそれを邪魔する。

中途半端な成功体験を共有した組織は、かなり厄介だった。主力社員は全員が抵抗勢力の状態だった。父は見守ってくれていたが、立場上、私の味方という訳でもなかった。実際、父も当初は私の言っていることが理解できなかった様だ。

環境が変わったことで、鬱病はかなり軽減していた。何より、のんびりしている余裕などなかった。何とかしなければ、3年持たないと感じた。この時感じた予感は、その後現実になっていくのだが、まだ誰もそのことに気付いていなかった。もちろん私自身も。

 

 

【今日のドラッカーの言葉】
マネジメントを欠くとき、組織は管理不能となり計画は実行に移されなくなる。(中略) 上司に気に入られることのほうが、成果をあげることよりも重要になる。たとえ製品が優れ、従業員が有能かつ献身的であっても、また上司がいかに偉大な力と魅力をもっていても、組織は、マネジメントという骨格をもつように変身しないかぎり、失敗を重ね、停滞し、坂を下り始める。

<P.F.ドラッカー マネジメント(中)> 

 
<コメント>
ドラッカー教授は、企業がある一定の規模と複雑さに達すると、マネジメントを必要すると言いました。それは硬い皮膚で構造を支える昆虫から、骨格で支える脊椎動物へと変わるような、まったく異なるコンセプトへの変化であると説きます。

50年前に教授がマネジメントを体系化した時代には、この転換期はおよそ300人程度の規模から訪れると書き記しています。しかし知識とITを駆使して働く現代の私たちは、それよりはるかに小さな規模でマネジメントを必要としています。

さまざまな業界で「年商〇〇円の壁」という言葉が聞かれますが、まさにこの壁こそが、マネジメントというコンセプトを導入すべき壁です。変化には苦痛も伴いますが、一人ひとりの献身をより大きな成果につなげるためにも、マネジメントを機能させることが重要なのです。

  

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 <講座および読書会のお知らせ>
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幸福の本質を見極める! ライフ・イノベーション番外編

 

 

 

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実践するドラッカー番外編 「チームの活動管理1dayセミナー」

 

 

 

ドラッカー読書会 -入門編ー】

東京 新橋 :2月8日(水)18:00~

神奈川 平塚:2月22日(水)19:00~

広島    :2月11日(土)19:00~

各会場とも、参加料は5,000円です。