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はたらくことの意味は、だいたいドラッカーが教えてくれた。

働くことの意味、人生の意味を喪失した私が、ドラッカーと出会い意味を取り戻していくまでの、10年とちょっとの人生記録。

自ら考え、自ら動く組織が生まれた!

回顧録 -小さな会社での奮闘記篇-

前回からつづく)

“組織をひとつにするための会議”は、まず「いま課題に感じていること」をヒアリングすることから始めた。ホワイトボード一面に、次々と意見が書き込まれていく。不満ばかりに焦点があたる愚痴大会にならないように、「どんな意見も率直に出してOKだけど、最終的にこのメンバーで解決できるものだけを扱う」ことにした。

ひとしきり意見が出たところで、次は強みと機会の分析へと移った。営業時代にちょっとだけ使ったことのあった“SWOT分析”という手法を、みんなで使ってみることにした。

さらに、自分たちのお店の“顧客像”についても意見を出し合った。家族構成や、おおよその年収、その人たちは、どんなきっかけで購入し、どんなことを期待しているか?などを話し合った。

それらをふまえて、自分たちのお店は今後どんなお店に変わっていったら、お客様にとって価値あるお店になれるのか?を話し合った。

 

 

この時の私はまだ、ドラッカーと出会っていない。しかし、この時やった事は驚くほどドラッカー的だった。

1つ目の議題で「参画する意識」が生まれた。
2つ目の議題で「自社の強み」と「集中」すべき場所が共有した。
3つ目の議題で「顧客は誰か」を共有した。
最後の議題で「向かうべきビジョン」を共有した。

入社して約半年、社員がはじめて同じ方向に向かって、分業できる環境が整った。あとは一つひとつのアクションプランを、一人ひとりの仕事に落とし込んだ。

 

 

ページ制作担当は、新しいビジョンに則ったホームページにリニューアルすることを決めた。制作チームで一番若手だった社員が責任者を引き受けた。それまで上司に指示されるまま仕事をこなしていた内気な若手だったが、この時を機に、何かが変わった。

商品開発担当は、ベッドならベッド、ソファならソファというように、さらに細かく「強み」と「集中」の分析を続けた。各商品ジャンルごとに「主力」と「サブ」を分類し、優先度の高いものから商品開発に着手した。

やめる事も決定した。一部の商社から仕入れていた商材は、全廃することとした。この商材は自社で在庫を持つ必要がなく、注文があってから1点単位で発注できるというふれ込みで扱っていたものだったが、品質が悪くクレームを増やす原因となっていた。自社の強みとも顧客層ともズレていることが分かり、1000商品ほど取り扱っていたものを、一気に0にした。

広告とお店のキャンペーンを連動させたお店の企画ページも動き出した。お客様が必要と思うタイミングで、必要と思われる企画を毎週立ち上げた。その代わり、従来型の単なるセールは全廃した。

 

 

“組織をひとつにするための会議”は、予想をはるかに超える大成功だった。

これを機に、社員がひとつの方向を向いた。自分の役割、そして一人ひとりの役割への相互理解が深まった。どんなコミュニケーションが必要かを互いに理解した。自分の判断で動ける範囲が分かり、一人ひとりが自ら考え動くように変わった。

さすがに、社長への直訴がゼロになった訳ではなかったが、それでも会議を行う前と比べると、大幅に回数が減った。

ひとつの成果へと向かうチームが始動した瞬間だった。




  

【今日のドラッカーの言葉】
オートメーションのもとでは、計画と実行を分離したまま人と仕事を組織することはできない。未熟練の者さえ計画する能力が必要である。計画する能力をもつほど仕事の責任をもつことができる。それだけ生産性も高くなる。いわれたことしかできなければ有害な存在となる。

<P.F.ドラッカー 現代の経営(下)> 

 
<コメント>
今回引用した「現代の経営」は、1954年に出版された書籍です。当時の課題はオートメーションという新たな仕組みの活用にありました。主に計画とマネジメントを担当する「経営管理者」と、実行を担当する「現場労働者」の対立が課題でした。

対立を解消し、生産性を向上させるための鍵は、労働者による計画への参画にありました。これらは戦時生産体制における人材不足で、偶然発見されたものだったそうです。現場で働く人が、自ら計画を行うことで、仕事の生産性は大幅に向上しました。

2017年に生きる私たちは、当時のオートメーションよりはるかに複雑なシステムを使って日々働いています。しかし、人が生産的に働くための原理は、1954年も2017年もなんら変わりはありません。

現場で働く人に適切な情報が提供され、自分自身の仕事を自ら計画できる環境を整えることによって、「自ら考え、自ら動く」という責任の意識が芽生えるのです。

  

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 <講座および読書会のお知らせ>
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