はたらくことの意味は、だいたいドラッカーが教えてくれた。

働くことの意味、人生の意味を喪失した私が、ドラッカーと出会い意味を取り戻していくまでの、10年とちょっとの人生記録。

無機質な数字の奴隷になれと言うのか?

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drucker-teachings.hatenablog.jp

 
このブログではもうしばらく、過去の自分の視点から書き続けていこうと思う。いま現在の自分の視点から見れば、かなり被害妄想的で恥ずかしくなる部分も多々あるのだが、あえて当時25~7歳くらいだった自分の視野と視点から記述していく。



鬱病になるまで自分を追い込んだ原因の2つ目。それは「内側ばかりを見る組織」への違和感にあった。いま思えば課題はマネジメントの機能不全にあって、特定の個人が悪い訳ではないのだが、当時の私は人の意識の問題ととらえていた。

私のいた業界、つまりIT業界は、外から見る印象と内側の実態が大きくかけ離れた業界のひとつではないかと思う。先進的な働き方をしているようなイメージが先行しているが、実態は建設業界にとてもよく似た、人海戦術で成り立っている業界と言える。

人で成り立っているがゆえに、人にまつわる問題で仕事が進んでいかないことがとても多く、それは次第に大きな疑問となっていった。

 

 

お客様が「話を進めたい」と言ってくれているのに、社内の技術者がまったく動かない。正確には彼らも仕事を抱えていて、能力ある人ほど仕事が集まっているがゆえに、動けない状態になっているだけなのだが、これが何年たっても改善されない。むしろ年々悪化していく。

「営業は人を動かせてナンボ」という社内の雰囲気もあり、人が動かせなければ当然営業としての評価は下がっていく。私自身は本社にいた時代に技術者と個人的なコネクションもあったが、支店の経験しかない営業は私以上に苦しんでいた。見ていて本当に可哀想だった。

その頃、会社の方針変更もあり、従来なら地元の外注業者に出していた案件も、社内の技術者でまかなう様になった。本社の案件と支店の案件では、そもそも規模感が違う。小さな規模の案件ほど後回しにされていく。

技術者は技術者で目標設定をされているから、効率よく目標達成できる案件が優先的に処理されていく。規模の小さな案件より大きな案件、遠くの案件より近くの案件、考える案件より効率的に稼げる案件・・・。

 

 

「お客様が望んでいることが、どんどん実現しづらくなっていく」

効率性と利益を求めれば求めるほど、現場はお客様の要望を叶えづらくなっていった。これが苦痛でならなかった。お客様が「これを改善したい」「新しくこういう取り組みをしたい」「うちの経営方針はこうだから…」と話してくれても、提案すらままならない。なんとか提案し受注にまで至っても、こんどは実現するための技術者が見つからない。


お客様のために貢献することよりも、営業目標という無機質な数字を達成することを求められているようにしか思えなかった。

「おかしくないですか?」
上司だけではなく、かなり上の役員にまで詰め寄ったが、その程度のことで会社の方針が変わるはずもない。

「会社員は、会社の方針に従うもんだ」
誰かに言われたが、まったく納得できなかった。
「言いたいことがあるなら、数字をあげてから言え」
その時点で支店の営業ではNo1だった。そんなに数字がすべてなら、もっと規模の大きな仕事のある場所に移してくれと思った。

 

 

見渡せば、自分の会社だけではなく、業界すべてがこの構造で成り立っていた。クライアント企業を見ても、やはり同じような構造で成り立っていた。

「社会全体が無機質な鎖でお互いを縛り合っている」

広い視野で見渡せば見渡すほど、そのように思えてならなかった。社会人として生きることは、自らの意志で奴隷になることを選択することのようにすら思えた。

「われわれは売上をあげ、利益をあげるために存在するのか?」
「生きることは、自らの意思で社会の奴隷になることなのか?」
「だとしたら、何のために生き、何のために働かなければならないのか?」

疑問のループは止まらなくなった。社会そのものを敵視し、自らを社会から遠ざけるようになった。孤独を選択するようになった。




【今日のドラッカーの言葉】
ミッションを持つことは、激動の世の中でますます重要となる。世界がどう変わろうとも、人は、誇りあるものの一員たることを必要とする。人生と仕事に意味を必要とする。絆と信条の共有を必要とする。予測不能な暗夜にあっては、導きとなる原理、丘の上の灯を必要とする。
人類の歴史上、今日ほど、自由と責任という自治の精神のもとに、意義あるもののために働くことが必要とされているときはない。

<P.F.ドラッカー 経営者に贈る5つの質問> 

 
<コメント>
人類は長い歴史の中で、生存戦略として社会性を選択し、さらには組織によって生産性を高めるという選択をしましたが、決して社会や組織への従属を強いられている訳ではありません。

「組織は道具である」とドラッカー教授は言います。組織のために人がいるのではなく、人が意義あるもののために働くために組織は存在します。ミッションという「丘の上の灯」が示される場所に、人が集うのです。

仕事を通して成果をあげることは、意義あるもののために働くための前提条件と言えます。一人ひとりが意義ある生き方を手に入れるために、個々人が「成果への責任」を共有している共同体、それが組織なのです。

 

 

 

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