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はたらくことの意味は、だいたいドラッカーが教えてくれた。

働くことの意味、人生の意味を喪失した私が、ドラッカーと出会い意味を取り戻していくまでの、10年とちょっとの人生記録。

お客さまは「安さ」だけに飛びついている訳ではなかった!

 (↓↓↓小さな会社での奮闘記篇 はじめから読む方はコチラ↓↓↓)

drucker-teachings.hatenablog.jp


 (昨日のエントリーから続いてます)

という訳で、ようやく仮説検証する場を手に入れた私は、さっそく実験を始めてみた。ここではじめて「買い手の心理」というオモシロイ世界に触れることになる。

最初に設定したテーマは4つあった。
 仮説A:本当にセールにしないと、広告でモノは売れないのか?
 仮説B:他店より高く売っても、便利だったら買う人がいるのではないか?
 仮説C:飽きられた商品でも、目先を変えれば広告を見てくれるのではないか?
 仮説D:単品を売るより、用途を売った方が顧客ニーズに合うのではないか?
これらを、いくつかの施策で検証していった。




仮説A:本当にセールにしないと、広告でモノは売れないのか?>
結論から言うと、これは半分本当で、半分は売り手側(自分たち)の思い込みだった。実験をはじめてすぐに気付いたのは、お客様が行動する動機は「安さ」そのものではなく、「限定感」だったということ。類似する用途の商品と比べて明らかに高いのは問題だけど、少なくともオリジナル商品を扱っているかぎり「当店通常価格からのお値引き」には、ほとんど意味のないことが判明した。


仮説B:他店より高く売っても、便利だったら買う人がいるのではないか?>
これは私自身もそういう購買行動をするので、はじめから確信があったが、実験してみて予想通りの結果が出た。たとえば自分のお店の主力商品(ベッド)に強い競争力があって、そのベッドと一緒に届いて欲しい商品がある場合は、「安さ」よりも「便利さ」を優先する客層が存在した。その後さまざま実験してみた結果、便利さを優先する客層は1割くらいの価格差までなら許容してくれることが分かった。


<仮説C:飽きられた商品でも、目先を変えれば広告を見てくれるのではないか?>
これは仮説Aで「限定感」というキーワードに気付いたあと、試験的に「季節限定カラー」を導入することで実証してみた。結果は予想どおり。限定カラーを提供した結果、従来の定番カラーも一緒に復調した。


<仮説D:単品を売るより、用途を売った方が顧客ニーズに合うのではないか?>
これはセールではない「〇〇特集」のようなページに広告を誘導することで実験してみた。(今でこそ当たり前だが、この当時は非常識だった) こちらも結果は予想どおり。そもそも売り場がセール会場である必要など、何もなかった。お客様は「安い」から買っているのではなく「欲しい」と思うから買っていた。



ひとつひとつの検証結果は、今でこそ本を開けば書いてあるレベルの知識なのだが、10年前にはまだあまり知られていない大きな発見だった。これで広告費の削減と事業の成長を両立できる可能性が見えた。あとは戦略に従って行動を積み重ねていくだけだった。

このとき、「思い込み」を疑うという姿勢の大切さを、はじめて身をもって知った。売り手が「お客様はこれを買っているに違いない」と思い込んでいることは、実際のお客様の行動とはまったく異なる。

目先の結果ばかりを求めて正解探しに走ることは、結果として自分たちの思考を停止させ、売り手の勝手な思い込みを生み出すだけなのだと、このとき気付かされた。

 

 

そして、お客様の「欲求」「ニーズ」というものが、ひとつ・ふたつのモノサシでは測れないという事も思い知った。それは少なくとも、「論理」「効率」などというもので割り切れるほど単純なものではなかった。

ひとりひとりのお客様に「思考」と「視点」があり、まさしく生き物としての判断が、そこにはあった。

このあと数年後にドラッカーと出会い、「知覚」という言葉を知ることになるのだが、少なくともこの時の経験によって、私は顧客と事業をきわめて知覚的にとらえるようになっていった。知覚という言葉は知らなかったが、知覚と論理を使い分けるようになった。

 

 

当面の戦略は固まった。あとは優先度と実現性の高いところから、ひとつひとつの仕事に落とし込んで実行していくだけだった。

<集客戦略>
安さではなく、限定感を主軸に据える。主力商材に季節限定カラーを採り入れ、集客効率を高めつつ、広告費は削減する。

<販売戦略>
来店動機にあわせて、顧客ニーズに合わせた複数の「提案のページ」をつくる。広告と提案を連動させることで、購買率を高める。集客と連動するよう、提案ページの一部だけは目玉となる限定感の高い商品(限定セール品)などを掲載する。

<単価アップ戦略>
来店動機にあわせて、ついで買いをしてもらいやすい商品をそろえる。
(この時、単一商品に強みを持つ他のネットショップと交渉し、仕入れを行うことにした。当時はなかったドロップシッピングの仕組みを自前で構築していった)

 

 

入社して2か月が経過。
商品企画部として、当面のやるべきことは、これで固まった。

が、しかし、、、
このあと思いがけない壁にぶつかる事となる…。(つづく)



 

【今日のドラッカーの言葉】
顧客や市場について、企業が知っていると考えていることは、正しいことよりも間違っていることのほうが多い。顧客と市場を知っているのはただ一人、顧客本人である。したがって顧客に聞き、顧客を見、顧客の行動を理解して初めて、顧客とは誰であり、彼らが何を行い、いかに買い、いかに使い、何を期待し、何に価値を見出しているかを知ることができる。

<P.F.ドラッカー 創造する経営者> 

 
<コメント>
昨年末に行われたアメリカの大統領選挙でも、名だたる大手メディアが有権者投票行動を読み切れませんでした。人は常に「自分が正しいと思っていること」の証拠を集める思考癖・行動癖を持っており、目の前の現実ではなく、都合のいい現実だけを見てしまう生き物なのです。

企業と顧客の関係性においても、これとまったく同じことが言えます。組織の内側にいる以上、どれほど細心の注意を払ったとしても、組織のバイアスがかかった視点からしか、現実を見ることはできないのです。

顧客分析から入っても、新たな変化に対応することはできません。分析できるのは、常に過去の出来事だからです。新たな変化を機会とするためには、顧客に聞き、顧客をつぶさに観察し、どのような変化が起こりはじめているかを「知覚する」という事が重要なのです。

 

  

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