顧客ニーズは、素人の方がかえってシンプルに考えられる。
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drucker-teachings.hatenablog.jp
新しい職場に入社して1か月。手始めに商品企画部を設立することにした。他の社員の方には申し訳ないと思ったけれど、ここは親族経営のメリットを思いっきり使わせてもらった。正直、遠慮している暇などない状況だった。
それまで商品企画の経験などひとつもなかった。組織全体を見回して、明らかに必要なはずなのに欠けている機能だったから、そのポジションを新設してもらっただけの事だった。
最初の1か月のあいだ、受注などの基礎的な業務を覚える傍らで、ネットショップ運営の基本的な分析は済ませてあった。運のよいことに、会社は当時の業界では上位クラスの規模にまで成長していたので、最低限必要なノウハウは社内にそろっていた。
社長(父)からは、当時の店長に広告費の大幅削減が厳命されていた。売上ばかりを追いかけて、広告費は売上の15%を超えていた。私が商品企画を担当するようになった月から、広告費は「10%厳守」の指令が下った。一時的に売上を落としてもいいから、まずは広告費を適正にするよう求められた。
さらに悪いことに、広告効果を高めるためにセールも乱発していた。セールで利益率の低い商品に広告費を大量投下することで、一見すると順調に成長しているように見えるのだが、影響で定価ではモノが売れない状況に陥っていた。短期の結果を求めて、売りやすい商品ばかりを繰り返し広告掲載するので、飽きられて広告の反応率もどんどん下がっていた。
誰がどう見ても、完全に悪循環にはまっていた。
入社してまず最初に、ネットショップの顧客について知っておこうと社内に聞いて回った。顧客は主に4つのルートから来店していることを教えてもらった。
1.検索
2.広告
3.ランキング
4.リピーター(メルマガ・ブックマーク等)
検索順位は、モールの仕組み上、すぐには変わらないことも分かった。インテリアというジャンル特性上、リピーターがすぐに増える見込みは薄かった。
さらに、ネットショップ業界には “売上の公式” と呼ばれるものがあった。(実際はそんな単純化しては危険なのだが…笑)
『売上=アクセス人数 × 転換率(購買率)× 客単価』
ひとまず、この公式に従って考えてみることにした。広告費を削減して減るのはアクセス人数だけなので、残りの2つ(転換率と客単価)をあげればよい事は小学生でもわかることだった。
社内で得た情報と “売上の公式” から、素人なりにいくつかの仮説を立てて、それを実行してみることにした。
仮説A:本当にセールにしないと、広告でモノは売れないのか?
仮説B:他店より高く売っても、便利だったら買う人がいるのではないか?
仮説C:飽きられた商品でも、目先を変えれば広告を見てくれるのではないか?
仮説D:単品を売るより、用途を売った方が顧客ニーズに合うのではないか?
これらの仮説を検証するには、ホームページを作ってくれる人が必要だった。
私が入社したころ、社内にページ制作をできるメンバーは3人いた。楽天の店長が1人とYahooの店長が1人、そしてアシスタントが1人。それまでは店長が販売・商品企画から広告の予算配分まで全権を持っていた。つまり、社内には個人商店が2つある状態だった。
これを組織化し、商品企画業務を引き取ることで、彼らに仮説検証のためのページ制作をやってもらう時間を確保することにした。それまで楽天とYahooでバラバラに作っていたページも、1つの素材を2店舗で使う形に変えることで、企画が得意な人は企画中心に、商品ページが得意な人は商品ページ中心に変えてもらった。
と同時に、明らかに個人の経験と勘で行っていたページ制作業務の優先順位づけにも介入することに成功した。「簡単にできること」「やりたいこと」が優先されていた状況から、「成果につながる重要なこと」を優先的に入れてもらうようにした。
やや強引なやり方ではあったけれど、こうして入社2か月目にして、ようやく仮説を検証に移せる環境を整えることができた。
【今日のドラッカーの言葉】
事業の分析の基本は、現在の事業、すなわち過去の意思決定、行動、業績によってもたらされた今日の事業の骨格、すなわち経済的な構造を調べることから始まる。資源と業績、活動と成果、利益とコストの間の関係や、相互作用を調べることから始まる。<P.F.ドラッカー 創造する経営者>
<コメント>
今日の業績は、すべて過去の意思決定を基盤としています。社会も人も常に変化し続ける存在である以上、組織は常に成果のあがりづらくなった過去の意思決定を廃棄し、新たな意思決定を行わなければなりません。
廃棄とは、組織の資源やエネルギーを開放するための活動です。資源やエネルギーの確保ができなければ、組織は新陳代謝という基本的な生命活動を行うことができなくなります。組織はわれわれ人間にとっての手段・道具であると共に、ひとつの生命体としての特性も持っているのです。
廃棄の第一歩は、分析から始まります。ドラッカー教授は、この段階で分析の技術的な完全さや、正しい答えは必要ないと言います。重要なのは「正しい問い」を見つけることです。組織が強みを発揮し、顧客に貢献し続けるためには、「われわれの事業はいかにあるべきか?」を探すことが、分析の目的であると言えます。
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